命と向きあう・食
幕内秀夫さんの『美味しい食事の罠』を読んだ。幕内さんは『粗食のすすめ』で有名な管理栄養士である。東京農業大学卒業後、専門学校の講師を努めるが、栄養教育に疑問を持ち退職。以後日本の伝統食や民間食養法の研究を行う。
戦後、日本の食育は「蛋白質が足りないよ」や「1日1回フライパン運動」に代表されるように動物性蛋白質と油脂を積極的に取る洋食礼賛の方向に向かった。その結果、「ご飯・おひたし・煮物・漬物」の伝統食は破壊され、世界各国の食事が食べられるようになった。食は商業に委ねられ、ご飯までがパック詰めされて売られている。家庭で炊くご飯と違い艶を出す、というような目的で様々な添加物が入っていたりする。若者はファーストフードやコンビニ弁当を食べ、主婦たちの間では「デパ地下」と呼ばれるデパートの地下で買える惣菜が人気である。
その結果、油脂と砂糖を大量に取るようになった日本人、特に若い女性に乳癌などの婦人科系の病気が激増しているという。病院の食事指導でそのような女性たちと出会ってきた幕内さんは彼女たちの食生活に危機感を募らせている。それは、部分的な欧米化によってバランスを欠いた都会型の食生活、つまり、まともな主食を食べていない、この一点に尽きるという。
彼女たちは共通して、ご飯を食べず大量の油脂を食べている。痩せたいがために、カロリーを抑え、食べる量を抑え、その結果、油脂や砂糖で穴埋めをしている食生活。脂質は女性ホルモンを刺激するので、それによって婦人科系の癌のリスクを高めている可能性が非常に高い、という。
ファッションモデルのように細くなりたいと願う女性たちはご飯を食べることを極端に控えようとする。ご飯やうどんなどを一切取らないというダイエット法も流行している。一方でパスタやサンドイッチ、ピザやハンバーガーなどのカタカナ主食は大好きだが、これらも太るからとわずかな量で我慢する。実はこの主食が、すでに砂糖や油脂まみれで、ほとんど主食としての体をなしていないことには無自覚なままである。彼女らが食事として常食しているふわふわのパンには砂糖や油脂がたっぷり混ぜ込まれていて、てんぷらの衣やドーナツを食べているに等しい。
幕内さんが食事指導で出会った乳癌の女性たちの多くが、朝食にパンを食べていた。砂糖と油脂入りのパンに、マーガリンとジャムを塗りたくり、さらに砂糖と油脂まみれの主食にしているのである。これでは飯なしのてんぷらを食べているようなものだという。その上、野菜を食べなくては、とレタス2~3枚やきゅうり3切れなどのわずかな生野菜をマヨネーズやドレッシングで油脂まみれにしている。これもてんぷらを食べているようなものだという。他の付け合せもスクランブルエッグやほうれん草のソテーなどいずれも油脂まみれのものばかり。パンと一緒に食べるものはついつい油脂まみれのメニューになってしまう。さらに美容と健康のためということでデザートとして糖分たぷりのフルーツや甘いヨーグルトなどを食べている。ほとんど、砂糖と油脂だらけのお菓子みたいな朝食である。
パンはご飯と違って腹持ちしないので昼食時にはかなり空腹を感じているが、太りたくない彼女たちはコンビニのサンドイッチとサラダとヨーグルトなど、カタカナだらけの食事で済ませようとする。これもまた、砂糖と油脂まみれの小麦粉、油脂まみれのわずかな野菜でおよそ食事と呼べる代物ではない。
もともと食事の基礎となる土台は、ご飯の主食。その上に野菜があり、さらにその上に肉や魚などの蛋白質があり、一番上にはわずかな脂肪や砂糖といったピラミッドが理想のバランスといわれている。ところがこれまで述べてきた女性たちの朝食や昼食はこのピラミッドがほとんど逆転している。これでは、夕食まで体が持つはずがなく、たいてい間食としてクッキーやチョコレートなどのなどのお菓子やジュースなどの甘い飲み物を口にしている。夕食はフレンチやイタリアンのレストラン、中華料理店に行き、健康のためとなるべく野菜料理を注文するが、こういったレストランには油脂まみれでない料理はほとんどない。自宅で取る食事も手軽にできる野菜炒めや市販のルーを使ったカレーなどになりやすい。おまけに、痩せたい女性たちはここでもご飯を食べまいと我慢する。つまり、主食であるでんぷんをまともに取らず油脂と砂糖で満腹になろうという最悪のパターンにはまっている。痩せよう、野菜を多めにしよう、と美容と健康に気をつけ、野菜も食べるように心がけた結果、こんな悲惨な食事内容になっているのである。
身近にもまさにそのような女性がいる。卵巣癌を手術で取った後、脳梗塞になった彼女は今も体調が優れず、やせ細っている。彼女の好物はパンでご飯はほとんど食べないという。料理が趣味でイタリアンやフレンチや中華などを食べ歩くのが趣味である。自分で作る食事も肉が中心で、パイなどのケーキ類も手作りし、日常的に食べている。パンの食べすぎだと思われるが、小麦粉アレルギーになっていて、パンを食べると唇がびりびりするといいながら、パンが止められないという。
ずいぶん前になるが、「世にも美しい食卓」などという本を書いた人がいた。ご飯を嫌い、パスタしか食べなかった彼女は若くして癌で死んだ。彼女の食事スタイルには若い女性の信奉者がたくさんいたという。
農家に生まれた私は3食ともご飯を腹いっぱい食べて育った。父はご飯をしっかり食べさせた上で、「口おかず、ものを食べるんじゃない(食事以外に、必要以上に食べるな)」と躾けた。実家を離れても主食はご飯だった。パンやうどんましてパスタなどを食べることはほとんどなく、幕内さんが当然としている食事内容だった。ご飯以外の主食はおやつのようで食事をしたという満足感が得られなかったからである。健康食品もサプリメントの類も取ったことがない。
父は85歳を過ぎた今も健在で畑に出ている。父によれば肉(洋食)を常食していた友人たちは若くして癌で死に、ご飯と漬物(和食)ぐらいしか食べない友人たちはみな元気で長生きしているという。
私は健康で母乳もあふれるほど出た。子どもにも当然ご飯をしっかり食べさせた。おなかがすいてパンなどを食べないで済むよう弁当にはご飯をぎゅうぎゅう詰めて煮物中心のおかずを添え、食後の飲み物にはお茶を持たせた。独立した子どもは自分でご飯を炊き、野菜などを煮て食べている。健康でどんなに無理しても風邪一つ引かないという。
夫はパスタが大好きでレストランを通してイタリア産の素材を取り寄せて作らせるほどだった。そばなどの麺類も好物の上、うなぎや寿司やカツ丼などご馳走が大好きだった。ところが、腎不全になり、漢方薬を飲むようになると嗜好が変わった。ご飯が大好きになり、パスタになど見向きもしなくなった。近隣の農家から伏流水で育てた美味しい米を玄米で買い、炊く直前に精米し、鉄鍋でストーブの日でことことと炊く粥はそれだけで十分に美味しい。滋味とはこのような味をいうのだろう。塩分なしでも食べられるというので助かっている。塩分、蛋白質、カリウム、リンと様々な制限があるため、おかずは僅かな醤油をかけたおひたしや薄味の野菜の煮物、わずかな焼き魚、わずかな肉入りの野菜炒め、豆腐、納豆などである。ご飯をたくさん食べているのでカロリーは十分に取れている。まさに、幕内さんが理想としている食事である。腎不全の食事療法では油脂をたくさん取るよう指導されるが、夫は食べたくないという。ついこの間まで、イタリア料理であれだけオリーブオイルを取っていたのが嘘のようだ。カロリーは十分取れているのでこのまま様子を見ようと思う。
現在日本人の食は命を養うものから命を損なうものになりつつある、とつくづく思う。テレビには大食い選手権やグルメ探訪などの番組が溢れている。食事以外にしょっちゅう何か食べている人も多い。
そこから消費期限切れで捨てられる食品が膨大に生じる現実が作り出される。「他の生物の命をいただく」というような意識などなく、飢餓線上で必死に生きている人たちへの思いなど感じない。
ジムに来る様々な生活習慣病予備軍の中高年の女性たちの中には「食べて痩せる」ことを夢見て、体を壊すほど運動をやりすぎている人も何人かいる。食事を減らせば済むことなのに、「30品目の食品を取らなければならない」「ヨーグルトを取るといい」などの「栄養学」に振り回されている。現代は偽者が横行する時代であり、栄養学にも問題のあるものが多い。
共立女子大学名誉教授の泉谷希光博士は「美食事代の落とし穴」(学士会報No.858)で「美食をしていると、母乳分泌が低下し、不妊症が増える」と述べている。こんなことは、一部の日本人が昔から主張していることである。 西洋かぶれの栄養学者たちは今なお、声高にこれを軽蔑し否定している。商業主義の食支配のお先棒を担ぐのではなく、それに警告を発するのが栄養学者の仕事ではないか。


食事についての風子さんの主義、ほとんど私と同じというのか、まったく私と同じというのか、対面して意見交換をしないと分からないくらいでした。
カロリーは少なくして、栄養のたくさんあるものを摂る。まずこれは大原則です。カロリーと栄養の区別がつかない人は 98%くらいいると思います。
牛は肉類を食べない、羊然り。我々が食べた食品は消化器内ではばらばらに分解され、それらが化学反応で結び合ってたんぱく質ができる。このため、牛、羊、という採食動物でも肉ができる。みな肉を食べて、あるいは魚を食べて人間の肉ができる、と盲信しています。
牛乳は栄養豊富だ、これもまた牛を生業とした米国の国策だったという説がありますが、妄信的に、それが何かを考えず牛乳をがぶがぶ飲むべきではない。チーズしかり。青魚然り。玉子しかりです。
食品の成分の炭水化物、たんぱく質、油脂、それに栄養の主要なパーツであるミネラル、ビタミン、その他とその重要性、役割を知ることが大切です。
サプリメントはすべて商業主義です。前にも小林製薬について書いたのですが、新聞1ページにわたるサプリメントの広告、詳細に見てもウソはない。しかし穴が随所にある。食品が有効であるとするためには、幾多の科学的なテスト手法があるのですが、そのような手はずを踏んだものはない。
私たち夫婦もサプリメントは摂ったことは一度もありません。朝食は野菜と果物だけ。野菜には何もかけないで食べています。これが一番美味い。もちろん塩をかけるなんてとんでもないのです。
昼食はお腹がすきます。カロリーを摂ります。一番計量がしっかりしているのは麺類です。とくに乾麺は重量グラムに4を乗ずればカロリーになるので安心です。麺類80グラムに決めてます。つまりカロリー 320カロリーを昼に食べます。
パンも美味しいので昼食として食べます。ただ、これはカロリーオーバーになるので注意するのですが、食べすぎに注意。アハハハ。
夜は、厚揚げなど豆腐製品をタップリ入れた野菜の煮物、これを腹半分食べます。それから魚か肉、これも80グラムが限度、これもグラムに4を乗じた 320カロリーです。腹一分、あとは豆腐・なっとう、味噌汁、それにカロリーとしてはお米です。玄米も美味しい。特に塾生さんが自作の玄米を下さるので愛用してます。不足分は白米。
おそらく風子さんも同じようなものでしょう。食品の知識はとても難しく、そして「生きる喜び」は「食べる」も大きい因子なので、他人には自分の考えを押し付けないことにしています。
先日も30歳の友人ですが、「肉を食べないと筋肉ができないものと思っていました。ミネさんの説明を聞き分かりました。このごろ野菜主義にしています」と感想を述べられました。
投稿: ミネさん | 2008年3月21日 (金) 17時25分