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2008年5月17日 (土)

同窓会

 夫の中学3年時の同級生たちは我々が住む地域で同窓会をやることになった。夫と東京在住の医師が幹事になった。夫は場所をぬるさと泉質の良さで有名な温泉に決めた。最寄の駅からバスもなくタクシーで20分以上かかる旅館が2件だけの秘湯である。送迎の車もない。38度前後なので2時間も入らないと温まらないが、難病に卓効があるので、湯治客の間では知る人ぞ知る名湯である。背中がぴんと伸びた95歳の女主人のもてなしに家族同然の湯治客も多い。
 
 夫の出身中学は札幌市にある。地元でやっていたときは参加者が十数人だった。古希という年齢もあり、来るのは5-6人かな、と考えていたら何と21人も集まり、小さな旅館は貸切となった。
 夫は中学3年時の同窓会にしか出ない。このクラスは不思議なクラスである。国立大学の一期校をはじめ、大学を出た人も多い。一流企業に勤め相当の地位まで出世した人も、苦学して弁護士になり、日弁連の副会長まで努めた人もいる。札幌とはいえ、何の変哲もない公立中学なのに、メンバーが非常に多彩で卒業後55年の今まで親しく付き合い、助け合ってきた。

 もう1人の幹事氏は同窓会出席が趣味とも言える人で小学校から大学まで案内が来る同窓会にはほとんど出ていて、幹事にも慣れている。早速案内状の雛型を送ってきた。国立大学一期校の医学部同窓会の案内状で、冒頭に「同窓の諸先生へ」とあった。それを見て唖然とした。同級生なのに自分たちを「先生」と呼ぶなんて。
 夫はレストランでも決してお任せコースは取らない。もちろん案内状も自分で書いた。この案内状に誘われて、と何人もの人に言われた。40通も出した往復はがきの返事はただ欠席に丸がついていたのも数通あったけど、他の大多数には余白いっぱいに近況が書かれていた。作家冥利である。

 戦後を築いてきた年齢の彼らは戦歴とも言える生活習慣病に倒れ、何とか回復した人も何人かいるけれど、最寄の駅までリュックを背負って20キロ近くの距離をマラソンで帰っていく信じられないよう人もいる。彼は大学の病理学の名誉教授で未だに学会で論文を発表している。

 山奥の秘湯のカラオケも何もない小さな旅館で心行くまで語りあった上、女主人のもてなしを受け、1万円で千円おつりがきたことに感激して帰っていったうちの何人が次の同窓会で出会えるだろう。夫も含めて。

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