逃げおおせた
「もう泥棒はいないよ」と風呂の更衣室で誰かが言っている。フロントに事情を聞いてみた。泥棒は3月いっぱいでジムを止めたという。
前にこのブログに書いたジムの泥棒が夜だけジムが使えるナイト会員から1日ジムを使える正会員に戻ってきた。正体がばれていないと思っている泥棒は以前同様愛想良く話しかけてくる。顔を合わせるたびに緊張が走った。再び盗難が相次ぐようになった。泥棒の存在を知らない新会員が狙われた。泥棒の正体を知っている会員たちは「今は木の芽時だから、活動が一層激しくなったんじゃない」と言っている。証拠がないから誰も名指しできない。私もカモになりかけている人を見て、「気をつけなさいよ」と喉元まで出掛かるのをぐっとこらえるしかなかった。
たまりかねたジムは女性の更衣室や風呂場に張り紙をした。「盗難が相次いでいます。盗難にあわれた方は小額でもフロントにお届けください。何か情報がありましたら、どんなことでもお知らせください。私たちもスタッフも厳しく対処していくつもりです」とある。同時に泥棒がチエックインするとスタッフが張り付くようにもなった。とたんに泥棒はジムに来なくなり、とうとう止めた。夫も同時に止めた。夫婦共々正体がばれたと気づいたのだろう。夫は小学校の教頭である。古くからの会員たちは家族全部が彼女の盗癖を知っているはずだという。止めさせる手立てを取らなかった家族も共犯ではないのか。
彼女は10年間十分に稼いでうまく逃げおおせた。
ジムは会員たちが互いに疑心暗鬼の状態になるのを避けたいと泥棒がいることを公表しなかった。泥棒は高を括ってしまった。泥棒とその家族に良心があるとは思えない。被害が広がり続けたのはそのためである。
小泉改革を発端にアメリカ型社会になった日本には彼女のような人たちが増え始めた。ジムのスタッフが今回取ったような方法で厳しく対処していくしかない。


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